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学術研究に必要な契約

3. 遺伝資源を利用する学術研究に必要な契約

生物多様性条約に従って学術研究を行う場合、資源国から求められる契約には次の2種類があります。いずれの場合も、資源国の政府内に設置されたフォーカルポイントと呼ばれる機関と交渉することになります。

遺伝資源の利用に係る提供国政府等との事前同意
(Prior Informed Consent:PICと略称)

生物多様性条約では、遺伝資源にアクセスする場合、生物多様性を管理監督する中央政府や地方政府の権威ある当局と、遺伝資源を利用する学術研究について実施以前に同意を求めなければならないとされています。資源国によっては、提供者や関連する伝統的知識保持者、地域住民代表からも事前同意が必要です。これがPICと呼ばれる手続きです。具体的には、研究実施者や共同研究者、実施計画、使用する遺伝資源やそれに伴う伝統的知識、実施期間などについて情報を資源国の権威ある当局利害関係者に提供し、同意を得ます。資源国の法律で決められた伝統的知識の権利者などがいる場合は、その国固有の法令や行政措置に従うことになり、事前に資源国の共同研究者と相談し、十分確認・調査することが必要です。

資源提供者等との相互に合意する条件
(Mutually Agreed Term:MATと略称)

生物多様性条約の第15条の第2項、第4項、第7項によって、当事者間で交渉し相互に合意する条件で合意することが求められています。これがMATと呼ばれています。MATは資源提供国で定めた法令に従う必要があり、それがない場合は上記生物多様性条約の第15条に従い当事者間の契約で決めるのが原則となります。当事者間の契約ですから、当然資源国の取引制度、商習慣を考慮しなければなりません。しかし、具体的にどのような内容を相互に合意するか不確実でしたが、ボン・ガイドラインによって合意内容が明らかにされました。利益配分には金銭的なものと、非金銭的なものがあります。交渉が長引き、合意になかなか至らない場合は、経験豊富な専門家のアドバイスを受けることが重要と考えられます。

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