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質問

派生物とは何か

回答

名古屋議定書では第 2 条で用語について次のように定めている。(c)「遺伝資源 の利用」とは、遺伝資源の遺伝的又は生化学的な構成に関する研究及び開発を 行うこと(条約第二条に定義するバイオテクノロジーを用いて行うものを含む。) をいう。(d)条約第二条に定義する「バイオテクノロジー」とは、物又は方法を 特定の用途のために作り出し、又は改変するため、生物システム、生物又はそ の派生物を利用する応用技術をいう。(e)「派生物」とは、生物資源又は遺伝資 源の遺伝的な発現又は代謝の結果として生ずる生化学的化合物(遺伝の機能的 な単位を有していないものを含む。)であって、天然に存在するものをいう。
名古屋議定書では「派生物」という文言はこの部分でしか使われていない。「派 生物」とは、生体内で起こるあらゆる反応によって生じたすべての化合物をい うのであり、生化学物質も含まれる。遺伝資源に存在したまま利用するか、遺 伝資源から分離して利用するか、合成して利用するかという条件はない。生化 学物を合成したり、工業的に生産したりした場合でも派生物にあてはまる可能 性がある。ただし、人工的変化を加えていないもであるため、化学修飾された 生化合物は派生物とは言えないと考える。cDNA も人工的な反応によって合成 されたものなので、派生物ではない。化学修飾され工業生産される生化合物(た とえば抗生物質の誘導体)は利益配分する義務はないと考えられる。
しかし、この解釈は締約国間で合意を得られたものではない。提供国では、化学修飾され工業生産される生化合物は、天然物の骨格を有しそれから由来したものであるから、利益配分の対象になるとの考えもある。いわゆるライセンスにおけるリーチスルーの考え方である。最近では、ゲノムデータベースも生物の遺伝的機能を解析した成果であるから、派生物にあたるという意見がだされている。実践の場で派生物を扱う場合、提供国側関係者との契約交渉の中で派生物をどのように定義するか、よく議論し合意に至ることが肝要と考えられる。

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