大学・研究所での学術研究に対する名古屋議定書/ABS対応のスペシャリスト

faq018

質問

大学での名古屋議定書対応が義務(mandatory)になるのはいつか?

回答

生物多様性条約は1993年12月に発効しているので、本条約で決められたこと、特にアクセスと利益配分は1993年12月以降遵守する義務がある。すなわち、提供国からPICと呼ばれる許可証と提供国の当事者からMATと呼ばれる契約の2つを持つことが、日本の大学等の研究機関における遺伝資源利用者の義務であり、大学等の研究機関の社会的責任である。
名古屋議定書は2014年10月12日に発効した。名古屋議定書はそもそも生物多様性条約のアクセスと利益配分の実効性を高めるために合意したものである。名古屋議定書を批准している提供国の国内措置に対して、日本の利用者は従う義務がある。名古屋議定書を批准していない提供国に対しては生物多様性条約の規定に従うことになる。
名古屋議定書で定められた利用国(日本)での国内措置については、日本が名古屋議定書批准を批准した後に、遵守義務が日本の利用者に生じる。日本国内での利用の国内措置をどのようにするかは第15条、第16条、第17条を中心に決められている。
名古屋議定書に基づく日本の国内措置について、政府関係省庁で議論されている。日本国内の遺伝資源に対する提供の国内措置も検討課題ではある。日本の国内措置がいつ決まるかについて正式な発表はないが、日本の「生物多様性国家戦略2012-2020」1には、
「国別目標D-3(対応する愛知目標の個別目標:16)可能な限り早期に名古屋議定書を締結し、遅くとも2015年までに、名古屋議定書に対応する国内措置を実施することを目指す。主要行動目標D-3-1可能な限り早期に名古屋議定書を締結し、遅くとも2015年までに遺伝資源の利用を監視するためのチェックポイントの設置や普及啓発等の実施により名古屋議定書の義務を着実に実施する。(環境省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省)」
と記載されていることから、遅くとも2015年に日本の国内措置が実施されることになる。
しかし、欧州連合ではすでに名古屋議定書を批准し、EU規則を制定し、欧州各国も国内法を定めて国内措置を実施し始めている。このような状況で、日本の国内措置がまだできていないから名古屋議定書を遵守しなくてもよいという考え方は、国際社会から認められない可能性が高まっている。科学者の社会的責任からの自主的な判断が求められている。日本の国内措置有無のいかんにかかわらず名古屋議定書を遵守することが研究者・研究機関の社会的責任であると考えられる。提供国の法律•規則を遵守して、遺伝資源の利用を法的に確実にすることは研究者・研究組織の必須の義務であり、その状況は1993年12月から変わることはない。

1http://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/initiatives/files/2012-2020/01_honbun.pdf

←質問ページに戻る

PAGETOP
Copyright © ABS学術対策チーム All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.