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質問

日本近海で採取し保存している海洋遺伝資源を海外に移転する際どのような手続きが必要か?この遺伝資源は希少生物ではなく一般的に日本近海で採取できる。保存試料は漁師の網にかかったものをもらったので、特に契約等はない。

回答

当該海洋遺伝資源は生物多様性条約以後に採取され保存されているとの前提で回答する。生物多様性条約第15条に従い、日本国の許可(PIC)と当事者間の合意(MAT)が必要である。
まずPICであるが、生物多様性条約第15条第5項に「締約国が別段の決定を行う場合を除くほか」はPICが必要と書かれている。つまり、別段の決定を行う国はPICを必要としない。日本国は別段の決定を行っていると所轄官庁である環境省はウエッブサイトで表明している。したがって、日本の遺伝資源を海外に移転する場合、原則PICは必要ない。しかし、海外に移転する際は環境省のホームページ上のPIC不要の記載箇所をコピーして相手に送るよう勧める。
次にMATですが、先生がミガキボラを採取したときが1993年以後(条約発効年)ですので、採取した権利者とMATを結ぶ必要がある。しかし、入手した際には暗黙の合意があったものと理解されるので、特に契約書は必要ないと考えられる。なんらかの問題が起きた際は保存者である研究者が責任を取ることになる。
次に移転先の第三者との関係になる。本来は権利者とのMAT契約に基づいて、海外の第三者とMTAを結ぶ。今回は最初の権利者との契約がないため、保存者が自己責任による自己判断で第三者と契約することになる。MTAは生物多様性条約を意識した契約にすることが望ましい。特に第三者が再移転する場合の制限条項が重要になる。

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