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faq051

質問

植物由来生理活性物質特許出願に関して、出願前準備として発明者からどのような点を把握確認すべきか?発明は植物由来生理活性物質の新規活性であるが、実際の物質は、最初抽出したものであったが、のちには試薬会社から入手したものを用いた場合と2つある。

回答

発明の内容調査は、発明者、共願人(他大学)との出願協議や、学内審議会等での検討などに必要であると考える。特に、生物多様性条約に関係ある特許出願の出所開示要件のある国に出願することを想定した取り組みが必要である。
まず天然の生理活性物質である場合について考える。発明者がどのようにして生理活性物質を入手したかが重要であり、入手経過を示す証拠を確保することが必要である。集めた証拠の程度によって後の対処をどうするか明らかになる。最も多いケースは市場やスーパーで購入した場合である。その場合、問題となるのは生物多様性条約でいうPIC/MATはない場合が多い。市場で金を出して買ったものだから、生物多様性条約には関係ないと考えると思うが、市場で売っているのは食べる目的であり医薬品にするためではないので、目的外使用ということになり、生物多様性条約の規則に従う必要がある。どこか海外の大学の先生から入手した場合、多分提供者の証拠があると思われるのでまだ問題は小さい。出所の証拠がないと中国などの外国出願に出所開示が求められる国は出願できないことになります。
次に、関係者とMATを交わすが、おそらく市場で買った場合はわからないので、これもPIC認可当局と相談し、PIC認可当局とMAT契約することになる場合が多い。すでに結果がでているので通常の契約にはならず、ライセンス契約と同じようなことになると思います。その場合、金銭的利益配分(一時金やロイヤリティ)を厳格に取り決めることになると考えられる。
以上が出願前の手続き関係である。特許出願すると日本では1年半後に公開になり、だれでも出願内容を外国人でも調べることが可能になる。目先の利く外国人が生物多様性条約を根拠に金銭を要求する質問状が大学に来る場合があるので注意が必要である。また起源国のNGOが騒ぎ出す恐れもある。
次に試薬会社から入手した生理活性物質を用いた場合を考える。この場合最初に考えなければいけないのは、試薬会社から入手した生理活性物質が遺伝資源の範囲に入るかという問題である。現在のところ、世界で合意した意見はなく、合成したものは単純に入らないという意見と、合成したものが天然に存在するものなら入るという意見の両方がある。まず、この問題について当事者内で意見を確立することが求められる。
範囲に入らない場合は、特にそれ以後の手続きは必要ない。入る場合であっても、研究者が試薬として購入し研究目的で利用しているので、権利は消滅していると考えられる。したがって、クレームをつけてきた国があったとしても、消尽論が優位であると考える。特許出願には試薬として入手したものであると記載し特に出所を開示する必要はないと思われる。念のため試薬会社から、活性物質の製造方法について情報を得ておくのが賢明である。

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